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てぃーだブログ › うちまち › 二零一五の終宴

2016年01月01日

二零一五の終宴

~12月31日 某所~
音楽が鳴り響くホールで、数十名の男女が踊っている。
そして、年の終わりが近づき、DJのカウントダウンが始まった。

「10」

「9」

「8」

「7」

「6」

「5」

「4」

「3」

「2」

「1」

「ハッピーニューイヤー!!!!!」

その瞬間、歓声と共に会場の熱気が一段と増した。
激しく盛り上がっているダンスフロアを後目に酒を飲んでいると、マサトが耳打ちをしてきた。

「トオヤ、あれを見てみろよ」

マサトが奥のソファーを指さした。

見ると、ソファに座った男女が親密そうに談笑していた。

「あれは…、ユリ?」

「そうそう」

「となりの男はナンパ?」

「そうそう」

「へー、あいつもなかなかやるねー」

「おっ、男がユリの肩に手をまわしてきた。ユリも拒否しない。これはオッケーサインか?」

マサトはスマホを取りだすと、「いいよー、いーよー」と呟きながら、パシャパシャと遠くから写真を撮り始めた。

「なんか雰囲気いいね」

「これは、お持ち帰りコースじゃね?」

マサトはニヤニヤした顔で、それを期待しているようだった。


~数十分後~

ダンスフロアで音楽に合わせて体を揺らしていると、隣にユリが立っていた。

「おつかれ。新年あけましておめでとう」

グラスを向けると、ユリは不機嫌そうな顔をしてグラスを合わせてきた。

「おめでとう。まじ最悪、何なんだよあいつは」

「正月からキレんなよ、何かあった?」

「ナンパだよナンパ。うざい」

「そなの?いい雰囲気だと思ったけど」

「はぁっ!!殴られたいの?」

「すいません、失礼しました」

そこへ、マサトが現れた。

「あれ?ユリ、お持ち帰りされたんじゃなかったの?」

マサトは相変わらずニヤニヤしている。

「殺されたいのか、お前は?」

目が据わっていて怖い…。

「いやー、ナンパされてたのが面白くて、笑かしてもらったわ。ありがとう」

どんな状況でも、笑顔を絶やさないマサトを尊敬した。

「チッ、行くぞ。飲み直しだ」

ユリは呆れたような顔をして、俺たちに言った。

「へい、姉さん!!」

例え年下であろうと、キレてる女は刺激しない方が良い…。

そんなことを学んだ、元旦だった。



Posted by とおや at 15:24│Comments(0)
 
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